北の国では まだ冬の名残りが続いているが…

スローモーションのような動きだった・・・

  が、一歩でも付いて行こうと、息も絶え絶えに、動かない足を運んだ。

     一歩進んでも、竿は伸されたまま…。それでも、もう一歩・・・。

もう、魚を見る余裕はなかった。 「止まってくれ〜」 心底願った。 

   2度、3度と首振りを直に感じ、糸切れの覚悟を何度もした。

が…遂に竿のテンションが抜けた。 ん? 止まってる!?  助かった!!!

   徐々に竿を立てながら、転ばぬように並び、岩の上に座り込んだ。

息は完全に上がり、足はもう…1歩も動かなかった。

  1分以上…激しい深呼吸を続け、座り込んだまま魚の動きを見ていた。

こんな感覚…餌師の方なら 解って頂けるかな・・・

 【後書き】 途中経過を敢えて素直に、詳しく書きました。 今回対峙した特別な桜鱒に敬意を表して…。

       と、同時に、この釣りが長くは続けられない予感をもって…。 特に【当りの微妙な感覚】を解っていただける方の為に書きました。

       参考になれば幸いです。(拝)

自宅の庭には
弥生・3月 春の兆しが見え始めた。

白梅

ガツン!!
春遠からじ…      かな?

僅かな緩流で止まった。 やっと追いついた。 

   と、思う間もなく、また奔流に走り、下る。


      水際の川岸を付いて行こうとするが…

行く手を棘が、枯倒木が、崩れる石積みが、邪魔をする。

  奔流に入ったサクラは、どんどん離れて…。


    遂に、竿が伸され…ほぼ竿と糸が一直線になった。

      息は上がり、足も動かなくなってきた。

まともにサクラの首振りが伝わって来る。  これまでか…

さて実況中継です。

ん? 根掛り? まさか…これで??

紅梅

竿を一瞬 見上げた…違う!!  乗ってる。 

水面下でギラッと白く光る。サクラの首振りが重い。強い。

白泡立つ奔流に乗って、障害物の向こう側に走った。 

竿を立てて障害物をかわしながら、川に飛び込み、走る。

が…足がついてこない。股下水深では 水の抵抗が辛い。

転びそうになるのを堪えるのが精一杯だった。

名前知らない…
   1人生えの花

テンション掛けないよう 岩に潜られないよう…

「グ」でもなく、「ク」でもない。

    ましてや「グン」や「クン」ではない。

       勿論「ゴン」でも「コン」でも「コツ」でもない。

目印に出る当りではなく、竿を持つ手に直接感じるもの。

  糸を通じ、竿を通じて伝わる、流れの重さ的な感覚。

     敢えて言うなら、「グ」と「ク」の中間の感じ…。

       時間にすれば、0.2秒程か…。

重さの違和感に…


  思い切り跳ね上げた竿が止まった。

【老体の限界を体感した】

ボケ

椿 or
山茶花

弥生サクラは…
65cm 2,735g

ここまで来れば…気持ちと体力に余裕が出てきた。  さあ、こちらの番だ。

  立ち上がり、プレッシャーをかける。  相手は、まだまだ元気が有る。

       対岸の流芯に潜り込む。 引き出す。 潜り込む。

取込み場所を模索しつつ、足場のいいところまで、テンション掛けながら下った。




  後は…気持ちよく青竿を曲げるだけだった。 改良したタモにもすんなり入った。

体力回復

5分程経っただろうか…

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